2021年8月18日水曜日

タリバン新政権、欧米の対応分かれる 朝日新聞社 - 朝日新聞デジタル - 2021年8月18日

 アフガニスタンで権力を掌握したイスラム主義勢力タリバンが17日、占拠した首都カブール市内で記者会見を開いた。新政権の樹立に向かうタリバンについて、欧米諸国の間で対応が分かれている。  バイデン米大統領は、タリバンが樹立するとした新政権について、立場を明らかにしていない。  サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は17日、「最終的には、タリバンが今後の方針をどう世界に示すかに懸かっている。これまでの行動は良くないが、現時点で答えるには時期尚早だ」と述べ、タリバンの今後の行動をみて米政府としての対応を決める考えを示した。アフガニスタンへの人道支援の継続についても「答えるには時期尚早」と明言を避けた。  ジョンソン英首相は18日、英議会下院で「どの国も新政権を早急に、あるいは二国間で承認するのは間違いである」と発言。各国がアフガニスタンの新体制の行動に関する「共通の条件」を話し合い、その上で、新政権の承認の是非や、どのような条件下なら承認できるかを共に決めるべきだと強調した。英国としては「言葉ではなく、実際の行動」をみて判断するとの考えも示した。  欧州連合(EU)も17日に緊急外相会議を開き、今後の支援について、紛争の平和的な解決や人権の尊重などが条件になると確認した。すでに資金拠出などは凍結したという。  ただ、医療や食料などの人道援助については、外相にあたるボレル外交安全保障上級代表が「政治状況を問わずに続ける。むしろ増額が必要になるかもしれない」と述べるなど、タリバンとの協議が必要であるとの立場だ。難民らが大量にEUに流入する事態を避けるためにも、アフガニスタンの近隣国を支える方針も表明した。  融和姿勢をアピールするタリバンが変わったのかという問いに、ボレル氏が「英語はうまくなったが、以前と同じように見える」と揶揄(やゆ)するかのような発言もあった。  一方、ドイツはタリバンと距離を置く姿勢だ。  メルケル首相は17日の記者会見で「現在の状況では開発援助はできない」と述べ、一時的に援助を停止する方針を示した。マース外相も先週の時点で「タリバンが完全に支配すれば、1セントたりともアフガニスタンには送らない」と発言していた。ドイツの対アフガニスタンの累積支援額(2002~19年)は、米日英に続いて4番目に大きく、駐留部隊も米国に次いで2番目の規模。ドイツの方針は、他の援助国の方針にも影響を与える可能性がある。  タリバンによる政権を認めない方針を明らかにした国もある。カナダのトルドー首相は17日、「タリバンは正当に選ばれた民主的な政府を、武力で乗っ取った」と非難し、「タリバンをアフガニスタン政府として承認する予定はない」と明言した。カナダはタリバンを「テロ組織」に指定しており、1996~2001年のタリバン政権も承認しなかった。(ワシントン=大島隆、高野遼、ブリュッセル=青田秀樹、ベルリン=野島淳、バンコク=乗京真知、ニューヨーク=藤原学思)

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