太陽熱や廃熱などを光に変換して発電する「熱光発電」を効率化させる装置を開発したと、京都大などのグループが発表した。従来よりも5~10倍多くの電流量を取り出せるといい、脱炭素技術への応用が期待できる。米科学誌エーシーエス・フォトニクスにこのほど掲載された。
熱光発電は、高温物体から出る「熱ふく射」と呼ばれる光を太陽電池に取り込んで電気に変える仕組み。この光は太陽電池が吸収しやすい波長に変えられ、通常の太陽光発電に比べて発電効率が高く、近年注目されている。ただ、従来の発電システムでは光の屈折率などの影響で一部の光しか取り込めなかった。
京大工学研究科の野田進教授らは、光を効率よく取り込むための装置(1ミリメートル四方)を新たに開発した。高温物体と太陽電池の距離を140ナノメートル(ナノは10億分の1)に近づけることで、これまで光が反射して取り込めない原因となっていた「隙間」を極力なくした。その結果、従来よりも5~10倍の電流を生成することに成功した。光源の温度が約千度に達した状態では、理論上の限界値を超える電流が得られたという。
野田教授は「小さくて発電効率の高い装置なので将来的にはソーラーパネルの小型化や災害時の非常用電源などにも活用できるのではないか」と話している。
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