2021年7月1日木曜日

その3

仮想通貨では匿名取引が可能だが 取引所での交換は電子マネーと同じ  では、マネーのデータについて、個人名と結びつけないビックデータとしての利用だけに限定することが可能だろうか?  これは、マネーがどのような仕組みで運用されるかに依存する。電子マネーでは、個人名は分かってしまう。なぜなら、電子マネーとは基本的には銀行口座の振替を効率的に行なう手段にすぎないからだ。  そして銀行口座の開設にあたっては、本人確認を厳密に行なっている。だから、電子マネーの運営者には誰のデータかが分かってしまう。  しかし、仮想通貨の場合には事情が異なる。ビットコインのもともとの取引形態では、アドレスからアドレスへの暗号文の送付という形で送金が行なわれる。ここで「アドレス」とは、秘密鍵から生成されるものだ。秘密鍵とはビットコインの場合には16桁の数字と記号の組み合わせである。秘密鍵は自分で作ることができる  ビットコインの取引はインターネット上で公開されている。ただし、そこで分かるのは、「あるアドレスから他のアドレスにどれだけのビットコインが送金されたか」ということだ。そのアドレスが現実世界の誰に対応しているかは分からない。このような意味で、ビットコインは、もともとの形では匿名性のある通貨だった。  ところがその後、ビットコインは変質した。当初の形態では、ビットコインを入手するには、マイニングという作業に参加するか、あるいはビットコインを持っている他の人から送金してもらうしか方法がなかった。  しかしこれでは流動性が乏しく、送金には使いにくい。しかも、秘密鍵をなくすと救済方法がないなど、普通の人が使うにはハードルが高すぎた。  そこで、実際の通貨との交換を行なう取引所が作られるようになった。取引所はこれまであった中央集権型の組織と同じものだ。ここがブロックチェーンとの取引を行なう。  顧客との間では、従来の銀行預金と同じようにIDとパスワードで本人を確認して取引を行なうこととした。その意味では、電子マネーと同じようなものになったのだ。  その後、仮想通貨に対する規制が強まり、取引所は本人確認を行なうよう要請されるようになった。つまり現実には、仮想通貨も匿名性がない通貨になった。  フェイスブックによって提案されているデジタル通貨「ディエム」やCBDCは、ビットコインのような仮想通貨に比べてつぎの点で異なる。  第1は、現実の通貨に対する価値が固定されていることだ。こうしたものを「ステーブルコイン」と呼ぶ。  ビットコインなどの仮想通貨は、価値の変動が激しいことから投機の対象にはなったが、日常的な支払い手段には使いにくかった。ステーブルコインよって、仮想通貨が送金の手段に使えるようになる

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