世界最大級の創業支援拠点として愛知県が整備を進める「ステーションAi」の運営権を、携帯電話大手のソフトバンクが取得したことが20日わかった。ソフトバンクは新規事業支援に力を入れており、専門家を派遣するなどして創業支援にあたる。
ステーションAiへ県は国内外のベンチャーや企業など1千社の入居を目指し、ソフトバンクはファンドを設立する。
同社は、グループを率いる孫正義氏が中国のネット通販最大手に成長したIT大手・アリババに創業当初に出資するなど投資に力を入れてきた。
ここから名だたる企業が育てば、ソフトバンク側も大きな利益を得られるメリットがある。県幹部は「ソフトバンクは失敗するわけにいかない。勝負をかけてくれる」と期待する。
県は2024年までに、ステーションAiの施設を鶴舞公園南側の県勤労会館跡地(名古屋市昭和区)に約143億円かけて整備する。7階建てで延べ約2万3千平方メートル。吹き抜けの周りに設置するスロープで各階がつながれる開かれた構造になる。
この施設で、独自の技術や知識の「交流」につながる仕組みを提供したい考えで、そこからの新ビジネス創出を期待する。県は海外の大学や支援機関との連携でこうした交流を加速させるという。
県担当者は「これまで製造業大手に就職すれば安泰と考える県民が多く、創業気質がなかった」と話し、「行政主導でこの規模の支援施設を作るのは他にはない」という。
県が力を入れる理由は、デジタル技術の進展などで産業構造が大きく変わる可能性があるため。「新産業を創出していかなければ人も金も逃げていくばかり」(県幹部)という危機感がある。(岡本智)
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