【ワシントン=蒔田一彦】米司法省は7月30日、トランプ前大統領の納税申告書などの財務記録について、財務省は下院委員会に開示しなければならないとの見解を示した。下院多数派の民主党がトランプ前政権時から開示を求めてきたが、当時の政府は「正当な目的に欠ける」と拒否していた。
歴代大統領は慣例で納税申告書を開示してきたが、トランプ氏は監査中などを理由に一貫して拒み続けた。民主党は、トランプ氏の過去の脱税などの有無を明らかにするためとして財務記録の開示を求めている。司法省は30日に発表した意見書で従来の判断を覆し、「委員会は前大統領の税務情報を請求する十分な理由があり、財務省は委員会に情報を提供しなければならない」と結論付けた。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は声明で、司法省の判断を「法の支配の勝利」とし、「トランプ氏が大統領として利益相反を招き、安全保障や民主主義を損ねた事実を国民は知るべきだ」と強調した。
ただ、トランプ氏が今回の判断に対して差し止め請求を行う可能性もあり、米紙ニューヨーク・タイムズは「争いの決着になるとは考えにくい」と指摘した。開示された場合でも、委員会が内容を一般に公開するかどうかは不透明だ。
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