2021年7月18日日曜日

コロナは国民と酒のせい、政府の本音 全国新聞ネット - 47NEWS - 2021年7月17日

  政府が新型コロナウイルス対策として打ち出している「飲食店への酒類提供停止要請」を巡り、二つの方針が相次いで撤回に追い込まれた。要請に従わない飲食店に対し「金融機関から働きかける」「酒類販売業者に店との取引停止を求める」の二つである。

 

 「法的根拠のない『脅し』」との批判が噴出しているが、正直「いまさら」感がぬぐえない。菅政権といい安倍政権といい、コロナ対策に絡んで「法的根拠のない私権制限」をどれだけやってきたことか。両政権にとって、実はこれが「通常運転」だとしか思えない。この1年半の両政権の「雑な私権制限」ぶりを、改めて振り返ってみたい。(ジャーナリスト=尾中香尚

 「法的根拠を伴わない私権制限」で最初に想起されるのは、安倍政権下の昨年2月に突然発せられた、全国の小中高校の一斉休校と、大規模イベント自粛の要請だった。政府の対策本部でさえ「現時点では必要ない」と判断していた方針が、首相の「鶴の一声」でいきなり覆された。首相が大規模イベントの自粛方針を表明した当日に予定されていたポップグループ「Perfume」の東京ドームでのコンサートが直前で中止された衝撃は忘れがたい。

 

 首相の思いつきのような発言が、その日のうちに甚大な影響をもたらした実例だった。

 楽しみにしていたファンはもちろん、懸命に準備してきたイベント関係者の仕事はどうなるのか。政府方針によってイベントが中止された経済的損失をどう補償するのか。こうしたことについて、安倍晋三首相から誠意のある発言はほとんど聞かれなかった。

 

 当時の一連の自粛要請の時点では、現在のコロナ対策の根拠法となっている改正新型インフルエンザ等対策特別措置法は、まだ存在していなかった(野党は現行の特措法で対応可能と主張していたが、政府は「法改正が必要」として認めなかった)。つまり、安倍首相の政治決断に法的根拠はなかった。その政治決断が経済や社会にどんな影響を及ぼしたとしても、法的責任を問われることはないわけだ。

 だが、当時はむしろ「迅速な政治決断」の方に焦点が当たり、法的根拠のない私権制限への懸念といった声は、あまり大きくなかったように思う(「現場の混乱」についての言及は一定程度あったが)。

 

 改正新型インフルエンザ等対策特措法はこの約半月後の3月に成立。政府はコロナの感染拡大防止に向けて緊急事態宣言を発令できるようになった。しかし、安倍政権はその後も緊急事態宣言の発令をためらった。

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