2021年6月25日金曜日
バイデン氏、インフラ投資計画で超党派と合意 5年で108兆円規模 毎日新聞 - 毎日新聞 - 2021年6月25日
バイデン米大統領は24日、上院超党派グループとホワイトハウスで会談し、5年間で約9730億ドル(約108兆円)を充てるインフラ投資計画で合意した。バイデン氏が当初提案した総額2兆ドル規模から大幅に縮小したが、超党派での法案成立に向けて前進した。
バイデン氏は会談後、記者団に「インフラ整備で超党派の合意ができたのは久しぶりだ。中国をはじめ世界の国々との21世紀の競争を勝ち抜くための大きな前進だ」と語った。
合意したのは、民主党10人と共和党11人のグループがまとめた計画。ホワイトハウスの発表によると、道路や橋、水道、高速通信網などインフラ事業に5年間で約9730億ドル、8年間で1兆2090億ドルを投じる内容で、約5790億ドルの新規歳出が含まれる。
最大の焦点だった財源は、米内国歳入庁(IRS)の徴税強化や、過去に成立した新型コロナウイルス経済対策の未使用分などでまかなう。バイデン氏は当初、法人税を現行の21%から28%に引き上げることを提案したが、共和党が「譲れない一線」と増税に反対したため見送った。
米国の高速道路の半分以上が建設から50年超が経過するなど、インフラ網の老朽化が進んでいる。オバマ、トランプ両政権もインフラ投資計画を策定したが、党派対立に阻まれて実現できなかった。バイデン政権が今回、超党派合意にこぎ着けたのは政治的成果となりそうだ。
ただ、法案可決への道のりはなお険しい。超党派案は、道路や橋など伝統的なインフラ投資に重点を置き、バイデン氏が提案した住宅や地域福祉など「人的インフラ」への投資は削除した。環境や福祉政策を重視する民主党左派はこれに反発しており、超党派案が民主党議員の反対で否決される恐れもある。
民主党内の分裂を避けるため、バイデン政権と民主党指導部は、超党派案に盛り込まれなかった気候変動対策などの政策や、子育て教育支援を柱とする1・8兆ドル規模の格差是正計画を別の大型歳出法案としてまとめる構え。
大型歳出法案は、法人増税や富裕層増税を財源とする計画で、共和党の賛成は見込めない。このため、法案可決に原則60票の賛成が必要な上院で、過半数での可決が可能となる「財政調整措置」と呼ばれる特例措置を活用し、50議席を分け合う上院で民主党単独での可決を目指す。
ただ、民主党の一部穏健派は民主党単独可決に難色を示しており、民主党が上院で50票の賛成票を確保できるか不透明な情勢だ。バイデン氏は「必要な票を獲得できる保証はないが、議会や上院がどのように機能するかをよく理解している」と述べ、今後も柔軟な交渉を通じて法案成立を目指す考えを示した。【ワシントン中井正裕】
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