日本銀行が25日発表した資金循環統計(速報)によると、今年3月末時点の家計の金融資産残高は前年同期比7・1%増の計1946兆円で比較可能な2005年以降で最高だった。新型コロナ禍で消費を控える傾向が続くなかで株価が上昇し、資産が増えている。
過去最高だった昨年12月末時点の1933兆円を上回った。この間、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)が8%上昇した影響が大きいと日銀はみる。前年3月末と比べても「投資信託」「株式等」がいずれも30%超増え高い伸びを示している。
金融資産の5割強を占めるのは「現金・預金」で、前年より5・5%増えた。コロナ禍による外出自粛のほか、一律10万円の「特別定額給付金」などが増加に寄与したとみられている。
コロナ対応の借り入れ増や株価上昇の影響で、金融を除く企業が持つ金融資産も1247兆円となり、過去最高を更新した。家計、企業部門が金融資産を増やし、全体として資金に余裕が出ている一方、コロナ対応の相次ぐ経済対策で財政赤字を拡大させた政府は大幅な資金不足に陥っている。3月末時点の資金不足は53・2兆円で、過去最悪だった。(津阪直樹)
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