2020年10月18日日曜日

【女子の兵法・小池百合子】目指すはDX・金融都市  産経新聞 - 2020年10月18日

 わが国の成長エンジンである首都・東京という観点からは、もう1つ強力に進めなければならないことがある。それは「国際金融都市」としての役割だ。英シンクタンクZ/Yenグループなどが発表した9月の国際金融センター指数ランキングによれば、東京は4位だった。首位はニューヨーク、次いでロンドン、上海と続く。国際金融をめぐる環境は激しく変動しており、世界から魅力的に映らなければランク外になるのが熾烈(しれつ)な都市間競争の現実だ。韓国・ソウルは2015年9月に過去最高の6位に上昇したが、釜山と金融ハブを分散したこともあって、昨年3月には36位にまで急落した例もある。  国内総生産(GDP)が世界3位のわが国は、1900兆円近い個人金融資産や多様な産業集積に加え、安定した政治情勢や治安、ドル資金へのアクセスなどの強みもある。しかし、国際金融都市として選ばれるには、税制、生活、労働、教育、医療環境など総合力が不可欠だ。  都は昨年4月に官民連携のプロモーション組織「フィンシティ東京」を設立し、英金融街シティー・オブ・ロンドンとの連携や海外企業・人材の誘致などの取り組みを展開。今月7日には「国際金融都市構想」に関する有識者懇談会の準備会をスタートさせた。東京をアジア、そして世界の金融のハブとすることは日本全体の成長につながる。  英国の欧州連合(EU)離脱や香港情勢を考えると、日本が国際金融都市として世界の選択肢になり得るのは「今がラストチャンス」だ。  孫子の兵法にある「先に戦地に処(お)りて、敵を待つ者は佚(いっ)し、後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す」は、先を見据えた施策展開の重要性を教えてくれる。人材、情報、技術、資金を呼び込み、コロナショックをバネに大きく成長する首都づくりに取り組む。  来年は五輪・パラリンピック開催とともに、未来に希望を持つことのできる1年にしていきたい。

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