武田薬品工業など国内外の製薬企業13社の連合組織は9日、新型コロナウイルス感染症にかかって回復した患者の抗体を濃縮、精製してつくる「高度免疫グロブリン製剤」の臨床試験(治験)を始めたと発表した。日本を含む18カ国の500人が参加する。
製剤は新型コロナから回復した患者に提供してもらった血漿(けっしょう)をもとにつくる。血漿は血液から赤血球などを取り除いた成分で、この中にウイルスをたたく「抗体」というたんぱく質が含まれていて、次にウイルスが来ても再び病気にならないよう備えている。
治験では、入院を必要とするものの重症ではない患者をランダムに2グループに分け、片方には抗ウイルス薬レムデシビルに加えて製剤を1回点滴する。もう片方のグループには、レムデシビルと、見た目は製剤と区別がつかないが薬効のない偽薬を点滴し、重症化を防ぐ効果があるかなどを調べる。
似た治療法として、回復した人の血漿をそのまま使う方法もある。抗体を濃縮、精製してつくる高度免疫グロブリン製剤は、新型コロナへの抗体を多く含み、血漿そのものよりも品質のばらつきが少なく、輸送もしやすいのでいろいろな場所で治療に使えるといった利点があるという。武田薬品工業は「年内には治験結果をまとめられるようにしたい」としている。(田村建二)
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