(ブルームバーグ): 半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏は16日、世界各国が取り組む自国内で半導体サプライチェーンを再構築する動きについて、コストが膨らみ、自給自足の達成もおぼつかなくなると警鐘を鳴らした。
世界的な半導体不足を背景に、日本や米国、中国などでは国内メーカーの自給率を高めるよう求める声が強まっており、半導体産業における台湾の圧倒的な地位に暗雲が漂い始めた。こうした中、張氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)が非公式で開催したオンラインでの臨時首脳会議に台湾の代表として参加した。
同氏は16日夕に台北で記者団に対し「過去数十年に及ぶ自由貿易が半導体技術の発展を大きく後押しした」と指摘。「技術の複雑化がサプライチェーンのオフショア化につながった」とし、「時計の針を戻そうとすれば、コストは上昇し、テクノロジーの進歩は鈍化するだろう」と語った。
TSMCの創業者、張忠謀氏 *飛行機を1から作ろうとするのに似ている❓*、おの
写真家:I-Hwa Cheng / Bloomberg
張氏は具体的な国名は挙げなかったが、政府が多額の資金と長い年月を費やしても、自給自足のサプライチェーンを構築するのは難しいと指摘。世界の消費者需要を満たすには従来の方式が最適だとの見方を示した。
「一部の国家安全保障向けの用途では、国内に自給自足の半導体サプライチェーンを持つことが賢明だ。しかし、民間の大量の需要に対しては、自由貿易システムに基づくサプライチェーンを維持するのが最善だ」と同氏は述べた。
原題:
TSMC Founder Says Breaking Up Chip Supply Chain Will Be Costly(抜粋)
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