2021年7月19日月曜日

ワクチンの安全性

 ワクチン接種後に、免疫をつけるという本来の目的とは異なる好ましくない症状を“副反応”といいます。副反応の多くは接種部位の痛みや赤い腫れ、微熱であり、症状は1~3日程度でおさまりますが、まれに重篤な副反応が起こることもあります。

有害事象:接種後におこるすべての症状・事象で、ワクチンとの因果関係を問わない。
副反応:有害事象の中でワクチンとの因果関係が否定できないもの

生ワクチン、不活化ワクチンに関わらず、副反応には発症メカニズムに応じて一定のパターンがあります。例えば、ワクチンに含まれる成分による極めて短い時間のうちに現れるアレルギー症状(アナフィラキシー)は接種後30~60分後に皮膚や呼吸器症状が現れ、つぎに循環器症状がでます。この症状は手遅れになる前に適切な処置が必要です。同様にワクチン成分によるアレルギーとして全身の皮膚症状が接種後24時間前後に認められます。日本では昔、安定剤として含まれていたゼラチンに対するアレルギーが話題になりました。他にも、早期の免疫反応(自然免疫反応)は接種後1日以内に認められ、局所の発赤や腫れ・全身症状として発熱が現れます。また、生ワクチンはワクチンに含まれる病原体の増殖により各ワクチンによって症状の時期が異なりますが自然感染と同様の症状がでます。

日本では、万が一のワクチン健康被害に対して救済する制度があります。
定期接種の場合は、予防接種法に基づいて医療費が支払われる予防接種健康被害救済制度というものがあります。これは、予防接種によっておこったものでないと否定されない限り、補償を受けることができます。一方、任意接種は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する医薬品副作用被害救済制度が適用されます。

ワクチンは病原体を弱毒化あるいは不活化して製剤にしているので、副反応が起こる可能性をゼロにすることはできません。だからといって接種しないのではなく、ワクチンを接種することで助かる効果と副反応による悪影響を天秤にかけてきちんと判断しなくてはなりません。医療従事者はワクチン接種について正しい説明をおこない、研究者はできる限りその頻度や程度を低くして安全な予防接種ができるよう開発していかなければなりません。行政に関わる関係者はまれながら一定の頻度で起こる副反応に対して十分な補償をする制度を構築していかなければならないのです。

定期接種の救済については、厚生労働省HPをご覧ください
厚生労働省HP(予防接種健康救済制度)はこちら
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/
任意接種の救済については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)HPをご覧ください。
PMDA HP(医薬品副作用被害救済制度)はこちら
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai-camp/index.html

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