2021年7月18日日曜日

【田中秀臣の超経済学】「政府と日銀の連合軍」でコロナ経済対策…苦境の業界や低所得層に対応を SankeiBiz - 2021年7月18日 😊*超経済学超いい*

  安倍晋三前首相が、北海道苫小牧での講演会で、「自民党に厳しい風が吹いている」と現在の国民からの批判の高まりに危機感を表明した。さらに、その厳しい風当たりに対して「政府と日本銀行の連合軍」で立ち向かうべきだとも主張した。第2次政権での在任中、すべての国政選挙で勝利しただけあり、政治的な目配りは鋭い。特に「政府と日本銀行の連合軍で思い切った対策を打てる状況にある」とした点は重要だ。

 

 どんな「状況」だろうか。それは政府が大胆な補正予算を組むことが可能であるし、それを支援する日銀の超金融緩和が実現可能だからだ。政府は補正予算の財源を長期国債を中心にして調達することができる。なぜなら日銀は国債の買いオペを強力に行うことをいままでも表明しているからだ。この政府の補正予算と日銀の金融緩和の「連合軍」は、もちろん国民の生活を改善するのに大きな力になるだろう。

 東京都に緊急事態宣言が発令された。コロナ禍で通算4回目である。東京で暮らしていると、今年はずっと緊急事態宣言下で生活している感覚に襲われる。今回の緊急事態宣言の特徴は、東京オリンピックやお盆の期間中であること、そして飲食店での酒類の提供を一律停止させる方針だ。

 前者は国際オリンピック委員会(IOC)などとの協議で、東京などでの無観客開催が決まった。また後者は、かなり厳しい措置となる。海外でも公共の場所で飲酒を禁止する例はあるし、またレストランやパブの営業禁止より強いロックダウンがある。それでもワクチン接種が進み、また欧米に比較すれば感染状況が抑制されている日本で、今回の酒類提供の一律禁止は、あまりに厳しいという評価は理解できる。

 政府の分科会では、いままで飲食店でのお酒を伴った長時間の会話が、感染リスクをもたらすと「定性的」な説明を繰り返してきた。今回は、ある程度の定量的な分析を提示し、その感染リスクを示してはいる。だが、飲食店や取引関係にある業者が被る経済的・心理的な負担を考えると、説明不足であることは間違いない。また、経済的な支援策が決定的に欠如している。

 

 現在は、西村康稔経済再生担当相がコロナ特措法に基づく休業命令などに従わない飲食店に「金融機関を通じて働きかける」とした発言をめぐって、政権批判はかなり高まっている。日本経済新聞が「西村氏発言に金融機関困惑 飲食店への要請『無理ある』」と伝えるように、この西村担当相の提言はもともと「無理」があった。撤回して謝罪したのは当然だろう。ただし、飲食店への協力金の前払いなど迅速化・簡素化などの方針は維持し、拡充していくべきだ。

 そもそもコロナ禍での経済の落ち込みは、特定の業態と雇用形態に集中して生じている。それら特定部門の落ち込みがあまりにもひどく、経済全体の落ち込みも生みだしてる。株価の高値安定や、世界経済の回復を受けての製造業の改善だけを見ていてはダメだ。

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