2021年7月18日日曜日

  業態別でいえば、飲食・観光、雇用形態でいえば非正規雇用の人たち。低所得層の方々や地方経済の落ち込みも深刻だ。つまり、経済全体を見ているだけではなく個々の対応が必要だ。まさに細やかで、かつ大胆な経済対策が必要とされる。これを実現できるのは、冒頭での安倍前首相の発言通りに「政府と日銀の連合軍」しかない。

 ここでも政府・与党の動きは鈍い。自民党の下村博文政調会長は、低所得層を対象に10万円の給付金を支給する政策を提言した。一部では、それを次の総選挙の公約に入れると報じられている。下村氏の緊縮的ともいえる態度にはあきれるしかない。低所得層を住民税非課税世帯として、2800万人ほどだと推測できる。この方々に1人10万円を支給してもたかだか2兆8千億円である。現段階で約4兆円予備費が残っている。10万円の給付金を配ってもまだ1兆2千億円程度残る。医療体制の拡充、ワクチン接種のための予算などで使える分はまだ残る。

 

 つまり下村提案など、すぐに予備費で明日にでも実現するべきなのだ。予備費の使途で、立憲民主党などとの「約束」があるが、そんなものは国民の必要の前には意味はない。これだけでは当然不足だ。

 低所得層の生活支援のためには、コロナ禍とその影響が続く間、毎月1人5万円を持続的に支給するのが望ましい。これは消費を刺激するためではない。あくまで低所得層の生活を維持するためであり、消費でもローンの返済でも、あるいは(多額はできないだろうが)貯金でも使途はなんでもいい。財務省の緊縮主義は定額給付金の大半が貯蓄に回ったと批判するが、「生活支援」の意味がわかっていない。どんなおカネの使い方でもいいのだ。生活不安の解消のために利用すればいいだけである。

 

 仮に2800万人に半年間、毎月5万円を配るとすれば、8兆4千億円。大した金額ではない。先の10万円支給は予備費ですぐに支給するので、もちろんこれは補正予算に計上する。合わせると1人当たり40万円を生活支援の給付金として配る。こう書くと「国民を励ますためにみんなに配る」「国民への謝罪に全員に配る」という人たちが出てくるが論外である。当たり前だが、生活に困っている人が最優先だ。

 ワクチン接種の進行とともにコロナ禍の終わりが見えてくるだろう。不確実性が低くなると、景気刺激政策が有効になる。昨年度の補正予算で計上されたGoToキャンペーンの再開や公共事業などが効果を発揮しやすくなる。

 

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