2020年1月4日土曜日


© 毎日新聞 ベイルートの高級住宅街にある日産自動車前会長のゴーン被告の自宅=2020年1月1日、篠田航一撮影
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は3日、金融商品取引法違反などに問われ保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が日本を離れる際、コンサートで使われる音響機器を運ぶ大型の箱に隠れてプライベートジェットに乗り込んだと伝えた。元米陸軍特殊部隊隊員ら米民間警備会社の関係者2人が連れ出したという。トルコ当局の捜査情報に詳しい関係者らの話として報じた。
 同紙によると、この米民間警備会社の関係者2人は2019年12月29日午前、ドバイからゴーン前会長を隠すための大型の箱を載せたプライベートジェットで関西国際空港に到着。ゴーン前会長は箱の中に潜んで機内に運び込まれた。同日夜に離陸し、30日朝にトルコ・イスタンブールに到着。ゴーン前会長は雨の中、車で空港内を移動し、別の小型ジェット機でレバノンに逃れた。
 逃亡に使われた2機を運航するトルコのプライベートジェット運航会社「MNGジェット」が、フライト後に二つの大型の箱を発見。ゴーン前会長が隠れていた箱の底には、呼吸用の穴が開けられ、移動しやすいよう車輪も付いていた。もう一つの箱にはスピーカーが入っており、ともに音響機器だと空港の検査でごまかすためだった可能性がある。
 MNGは3日、従業員の一人がゴーン前会長の名前が残らないように記録を改ざんしたとして告発した。同紙によると、この従業員が、関西国際空港でゴーン前会長を機内に運び込むのに箱の一つが使われたとトルコ当局に説明したという。
 ゴーン前会長を連れ出した2人はイスタンブールに到着後、別の新空港に移動し、民間航空機でレバノンに向かった。2人のパスポートには日本とトルコの出国スタンプが押されていた。イスタンブールからはゴーン前会長と別行動だったといい、MNGの従業員がゴーン前会長が乗る小型ジェット機に同乗していた。
 同紙によると、2人のうちの1人は、元米陸軍特殊部隊隊員のマイケル・テイラー氏。アフガニスタンで反政府勢力タリバンに拘束された米紙ニューヨーク・タイムズ記者を救出するために、同紙がテイラー氏の当時の警備会社と契約していたといい、警備業界でよく知られた存在だという。
 また、事情を知る関係者がウォール・ストリート・ジャーナルに語ったところによると、ゴーン前会長は当初は法廷で争うつもりだった。しかし、裁判の開始が予定よりさらに遅れる可能性があることを12月25日に知り、海外逃亡という「プランB」に切り替えることを決めたという。【ニューヨーク隅俊之】

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