2021年7月1日木曜日

米中データ戦争、攻防の中核は中央銀行デジタル通貨 米中データ戦争、攻防の中核は中央銀行デジタル通貨

 米中間の経済対立が激化している。それがデータの領域にも及んできた。  中国は6月に「データ安全法」を成立させ、データの国外持ち出しを規制しようとしている。2017年に施行された「サイバーセキュリティ法」(インターネット安全法)、審議中の「個人情報保護法」と合わせて、データ管理の体制が整備され、輸出規制がデータにも適用されることになる。  国家間の情報戦は歴史の古い時点から繰り広げられてきたが、いま問題になっているのはビッグデータだ。その意味で古典的な情報戦とは性質が異なる。  ビックデータはAI(人工知能)の能力を高めるカギであり、AIは国の競争力を決める。したがって、データをどれだけ集められるかが国の将来を決める。中国がデータの国外持ち出しに神経をとがらせるのは当然のことだ。  とりわけデータの中でもマネーの送金に関わるデータは極めて強力だ。米中間でもマネーのデータをめぐる攻防になるだろう。  これまでビックデータとして使われてきたのは、主としてSNSのデータだ。しかし、これだと、データを取れない人もいる。それに対して、マネーは誰でも使っているのですべての人に関するデータが取れる。それだけではない。  SNSのデータは1つ1つを取ってみればあまり価値がないものが多い。大量のデータが集まることによって初めて価値が生まれる。それに対してマネーの場合には、個々のデータをとってみても、誰にどれだけの金額を送っているかが分かるので、かなり多くのことが分かる。つまり、個別のデータも、場合によっては大変重要な意味を持つのだ。実際、香港の活動家は、デモに参加する際、電車料金を払うのに電子マネーを使わなかったと言われる。  中国は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)であるデジタル人民元の準備を積極的に進めている。この目的としてはさまざまなことが考えられるが、最も重要な目的は国民一人一人に関する詳細なデータを入手することにあるのではないかと思われる。  これまでマネーのデータは、アリペイなどの電子マネーによって収集されてきた。アリペイを運用するアントは、それを用いて信用スコアリングを作成し、それを用いた融資判断を行なってきた。

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