2021年1月25日月曜日
バイデン氏、対中通商で「懲罰的な手法とらない」…国際協調で圧力 読売新聞 - 読売新聞 - 2021年1月22日
【ワシントン=山内竜介】米国のバイデン大統領にとって、通商政策での最大の課題は対中国戦略の再構築だ。トランプ前大統領と同様に中国に厳しい姿勢で臨む一方、国際協調で圧力をかける路線に転換させる考えを示している。米中摩擦の動向は、日本を含む世界経済に大きな影響を及ぼすが、解消は見通せない。
バイデン氏は、中国との通商関係について「知的財産権の侵害や国有企業への補助金といった不正行為に関して、進展のある貿易政策を追求する」と話す。日本など同盟国との協調で、貿易慣行の是正へ包囲網を強化する考えだ。
「懲罰的な貿易手法はとらない」としており、制裁・報復関税の応酬は再燃しないとみられる。ただ、トランプ政権が中国から輸入する製品の大半に課した制裁関税は当面維持する方針で、交渉カードに使うとの見方が多い。
トランプ政権は貿易以外でも、中国への経済制裁を加速させた。政権交代直前まで、半導体受託製造大手「中芯国際集成電路製造」(SMIC)などへの輸出規制や通信大手「中国移動」(チャイナモバイル)などへの投資規制を相次いで打ち出した。米企業の収益への悪影響など弊害もあるが、安易に緩和すれば対中警戒が高まる国内で批判を招きかねない。バイデン政権下でもIT分野などでの覇権争いは続きそうだ。
バイデン氏は通商政策の基本方針として「米労働者第一」を掲げる。米企業が海外生産で得た利益に追加の税を課す「メイド・イン・アメリカ税制」の導入も訴える。米国の保護主義的な姿勢は続く可能性が高い。
日本では環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を期待する声がある。ただ、米国では労働組合などの反対が根強く、早期復帰は見通しにくい。日本は今年、TPPの議長国で、新たに参加を希望する国・地域や加盟国の議論を主導する。
英国のエリザベス・トラス国際貿易相は20日、TPPへの参加を近く申請すると表明した。中国も参加に意欲を示す。日本は米中関係を考慮しながら、難しい調整役を担う。
2020年の世界経済は、コロナ禍で「世界大恐慌以来、最悪の不況」(国際通貨基金)に陥った。世界銀行は、21年の世界経済の成長率が前年比4・0%増に持ち直すと試算している。しかし、回復基調は弱く、ワクチンの普及などに左右されて、世銀は「不確実性は非常に高い」とみている。自由貿易や経済のグローバル化の停滞が続けば、世界経済の重荷となる。
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