2020年12月24日木曜日

アントの一部譲渡を提案しても、当局はIPOを認めず…ジャック・マーは中国政府の懐柔に失敗した  Katie Canales - BUSINESS INSIDER JAPAN - 2020年12月24日

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ジャック・マーは2020年11月2日の会合で、中国政府にアント・グループの一部を譲渡することを申し出たという しかし、マーの提案は中国政府を翻意させるに至らず、当局は新たな金融規制を導入して、マーの370億ドル規模のIPOを中止させた。 今回の報道で、世界最大のIPOがどうしてストップせざるを得なかったのかが垣間見える 専門家によると、アント・グループは再度IPOを目指すとしても、金融セクターを混乱に陥れるような企業としてではなく、従来の金融機関と緊密に連携することになるだろうという。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ジャック・マー(Jack Ma)は11月2日、フィンテック企業アント・グループ(Ant Group)の一部を譲渡すると申し出て、中国政府と和解しようとした。 マーが10月下旬に中国を公に批判したことを受け、習近平国家主席はアントがもたらすリスクを調査するように当局に個人的に指示したと伝えられている。 WSJにコメントした情報筋によると、マーは11月2日の会合で規制当局に対し、「国が必要とするなら、アントが所有するどのプラットフォームを利用してもいい」と述べたという。しかしマーは中国政府との調整に失敗し、当局は11月5日、370億ドル規模のIPOにストップをかけた。 アント・グループはBusiness Insiderのコメントの要請に応じていない。 アントは市場から史上最高額となる370億ドルを調達すると予想されていた。これにより、同社はゴールドマン・サックスなどの大手金融機関を追い越し、金融セクターの中でもフィンテック市場は、動きの速い破壊的な企業が参入してくる余地があることを示すはずだった。 しかし、マーは10月24日に上海で開催された会議で、中国の金融規制システムを批判し、健全なイノベーションを阻害すると指摘した。その1週間後、規制当局は突如として新しい金融規制を導入し、アントを成功に導いたクレジットビジネスに打撃を与えた。この新規制により、アントはIPOを行う資格を失い、上海証券取引所は11月3日にIPOを停止し、アントは香港での上場を取り下げた。 ある専門家は以前、Business Insiderに対してアントには課題があると述べた。もしIPOを再開したいのであれば、中国の新しい金融規制に適応し、上場資格を得るために再申請をしなければならない。もしそうなっても、アントはかつてのような話題性のあるフィンテックの破壊的な企業にはならず、より保守的な銀行の手法を用いる可能性が高いという。WSJが報じているように、アントが資本不足に陥った場合に備えて、中国の銀行がアントを買収する可能性もある。 また、中国ではハイテク企業を牽制するための規制が増えている。これには、企業が団結して小規模な競合企業を押さえつけることや機密性の高いユーザーデータを共有することを防ぐなど、より厳格な反競争的行動ガイドラインが含まれる。11月初旬に導入された新しい融資ルールは、アリババ(Alibaba)を含む中国最大のテクノロジー企業に直接的な影響を与えるものだった。 マーによって設立された、アントの関連会社であるアリババのCEO、ダニエル・チャン(Daniel Zhang)は、政府による新たなルールは「タイムリーかつ必要なもの」と述べた。チャンCEOの発言は、国際的な銀行規制を執行する人々を「老人クラブ」と呼んだマーの言葉とは対照的だ。 [原文:Jack Ma reportedly tried and failed to schmooze China with an offer to give 'any of the platforms Ant has' to the government before officials pulled its $37 billion IPO] (翻訳、編集:Toshihiko Inoue) ジャック・マー、巨大IPOを前に国際金融規制を批判…「バーゼル合意は老人クラブ。未来の規制に昨日の方法は使えない」

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