2020年12月24日木曜日

英とEU、FTA大筋合意 経済混乱、土壇場で回避 欧州メディア報道 毎日新聞 - 毎日新聞 - 2020年12月24日

 欧州連合(EU)を離脱した英国とEUによる自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉は24日、大筋で合意した。複数の欧州メディアが報じた。FTAが発効できれば、英EU間では関税のない自由貿易が維持される。英国がEUに事実上残留する「移行期間」は31日までだが、「FTAなし」による経済混乱を土壇場で回避することができる。  英紙フィナンシャル・タイムズは、英EUが23日夜にFTAのほか、司法、安全保障などの協力に関する将来関係交渉の最終調整を行ったと伝えた。BBCなどは24日にも記者会見が行われると報じている。合意が正式発表された場合、英国は年内に議会の批准を行う見込み。一方、欧州議会での採決は年内は難しく、EUは暫定的な措置でFTAを発効させるとみられる。  交渉では英海域でのEU漁船の漁業権や、市場における公正な競争条件などで意見の対立が続いてきた。  漁業権問題では当初、EUが現在認められているEU漁船の操業権維持を求めたのに対し、英国は条件を毎年の交渉によって決めるよう主張した。漁業権を「主権回復」の象徴と捉える英国と、フランスなど周辺国の権益を守りたいEUの駆け引きが続いたが、21日にジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長が電話協議した後に歩み寄りがみられた。最終的に激変緩和期間を設けたうえで、EUの漁獲量を一定量減らしていくことで大筋合意した模様だ。  公正な競争条件を巡っては、EU側は市場に自由にアクセスする条件として国家補助金や労働、環境条件などの規制についてEUのルールに従うよう要求していた。英国が自国産業に有利な規制緩和を行うことを警戒したためだ。大筋合意の詳細は不明だが、この問題でも妥結に至ったとみられる。  英国は2020年1月にEUを離脱し、英EUは3月からFTAなどの将来関係交渉を開始した。交渉は新型コロナウイルスの影響もあり停滞したが、双方は6月の首脳会議(テレビ会議形式)で移行期間を延長しないことで合意した。その後も協議は難航し、当初の交渉期限とみられていた10月中旬のEU首脳会議を過ぎても妥結に至らなかった。英EUの交渉チームは10月下旬から集中協議を開始したが、主要な争点で行き詰まりが続き、12月4日に中断。ジョンソン氏とフォンデアライエン氏は電話協議を経て9日に対面で会談したが、状況は打開できず、両首脳は21日にも電話協議を行っていた。【ブリュッセル岩佐淳士、ロンドン服部正法】

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