2020年1月18日土曜日


【モスクワ=工藤武人】ロシアのプーチン大統領は、実現を目指す憲法改正で、下院の権限強化などの機構改革と合わせ、憲法の条約や国際法との関係を見直し、国家主権の強化を図る方針を打ち出した。改憲が実現すれば、日露平和条約交渉などロシアの外交姿勢に影響する可能性がある。
 プーチン氏は憲法改正を提案した15日の年次教書演説で、「国際法や条約、国際機関の決定は、国民の権利や自由を侵害せず、憲法に反しない限り有効となる」と述べ、「憲法の優先」を明記する考えを示した。
 国民の権利や自由について記述した現行憲法の17条では、憲法とともに「国際法の一般に承認された原則や規範に従う」と明記している。プーチン氏の発言は、この条文の改正を意図した可能性があるが、詳細は明らかにしなかった。
 ロシアは、日本との平和条約交渉で、北方領土に関し、「第2次大戦の結果、合法的にロシア領になった」と主張している。ロシアの憲法では4条で「領土の保全と不可侵の保障」をうたっており、ロシアがこうした主張を一層強める可能性がある。ロシア側が「ロシアの法律の下での実施」を求めてきた北方領土での共同経済活動にも影響が及ぶとの見方が出ている。

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