2020年8月24日月曜日

中国の記録的な洪水、その背景とは? AFPBB News - AFPBB News - 2020年8月24日 【AFP=時事】中国では毎年大規模な洪水が発生しており、政府は国内各地に設置した巨大ダムのネットワークを対応策としてアピールしてきた。しかし今年もまた記録的な大洪水に見舞われ、数百人が死亡した他、家屋数千棟が浸水した。 今回影響を受けた人は数百万人に上っている。数十万人が避難し、道路は水没、観光地も閉鎖され、巨額の経済損失が出ている。  なぜ中国は毎年深刻な洪水被害を受けるのか、5つの疑問点をまとめた。 ■ダムは機能しているのか?  中国では以前から、水流を制御したり迂回(うかい)させたりするために、ダムやせき、堤防、貯水池に依存してきた。  中国応急管理部によると、6月から8月初旬にかけて、アジア最長河川の長江(Yangtze River)のダムや貯水池で約300億立法メートルの水がせき止められ、上海を含む下流域への被害を軽減している。  だが巨大インフラをもってしても、すべての洪水は食い止められていない。国営中国中央テレビ(CCTV)によると、先月には●河(じょが、Chu River、●はさんずいに除)流域の2つのせきの爆破を余儀なくされ、川からあふれた水を田畑に放流したという。  また長江上流に設けられた世界最大の水力発電ダム、三峡ダム(Three Gorges Dam)の構造上の懸念も絶えない。同ダムは、地下の断層が複雑に入り組んだ場所に位置しているからだ。 ■気候変動による影響は?  気候変動により、極端な気象現象が頻発するにつれて、中国のダムにかかる負荷がさらに増す可能性が高い。  中国水利部によると、今夏は53の河川で過去最高水位を記録したという。 ■「スポンジシティー」の効果は?  中国の急速な発展と都市化も、洪水被害の悪化を招いてきた。都市化に伴い、より多くの土地が不透水性のコンクリートで覆われ、豪雨の際に地面に水が急速にたまるリスクが高まった。  政府が提示した解決策の一つが、2014年に始まった「海綿城市(スポンジシティー)」計画だ 都会の不透水性の地面を、透水性舗装材など多孔質材で置き換え、緑化を進め、排水溝や貯水池を増設することにより、地面に水がたまるのを防ぐとしている。 ■洪水による最大の被害者は?  とはいえスポンジシティーは、迂回流の通り道に位置し、洪水によってすでに家屋や作物に甚大な被害を受けてきた地方部の集落にとっては、利益は少ないとみられる。  人口密度の高い都市への被害を防ぐため、複数の村で全体が洪水の犠牲となることも多く、そのたびに村民は避難を余儀なくされてきた。 ■他に講じられる対策は?  中国は洪水による人的被害の抑制策として、洪水の監視強化と早期避難に注目している。  応急管理部の発表によると、今年6月から8月初旬の洪水による死者・行方不明者は219人で、過去5年間の年間平均に比べると半数に満たなかったという  その一方で、今年の洪水による経済損失は15%増加し、1790億元(約2兆7000億円)に上ったことが、当局が先週開いた記者会見で明らかになっている。  シンガポール国立大学(NUS)で水政策を研究するセシリア・トルタハーダ(Cecilia Tortajada)氏は、洪水予防は究極的には気候変動に対する世界規模の行動も必要になるとの見方を示し、「国ごとの備えは進んでも、世界全体としての備えはできていない」と指摘している。 【翻訳編集】AFPBB News

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