2020年9月6日日曜日

出稼ぎ労働者から母国への送金額急減 新型コロナ拡大で失業、最大2割減  毎日新聞 - 毎日新聞 - 2020年9月6日  新型コロナウイルスの感染拡大を受け、これまでアジア太平洋地域の経済発展に貢献してきた出稼ぎ労働者らが失業し、母国への送金額が急減している。アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ)は、同地域への2020年の送金額は18年と比べ、最大約2割減少すると予測。08年の世界金融危機を大きく上回る過去最大の下げ幅になる見通しだ。  ADBなどによると、出稼ぎ労働者が国民の10分の1に当たる約1000万人に達するフィリピンでは、国外からの送金が国内総生産(GDP)の1割を占める。だが、3~5月の送金額(銀行経由ベース)は前年同期比で13.4%減少。20年全体では約2割の減少となる見込みだ。  フィリピンはここ数年、実質GDP成長率は6%程度を維持してきたが、4~6月は送金額の減少などを受け、前年同期比16.5%減と過去最悪を記録した。フィリピン労働雇用省は、21年までに100万人以上の出稼ぎ労働者が失業すると予測しており、再就職支援などの対策を始めている。  他のアジア諸国でも、出稼ぎ労働者からの送金額は大きく減少している。バングラデシュでは3~5月の送金額が前年同期比で16.5%減少した。6、7月はプラスに転じたが、地元メディアは「職を失った人が帰国前に貯金を全て送った可能性がある」と指摘する。送金額が世界最多のインドでは、雇用環境の悪化で出稼ぎ労働者の帰国が加速。送金額も大幅に減る見通しだ。  ADBは20年、アジア太平洋地域の15カ国で送金の減少率が2割を超えると予測する。ADBの吉川愛子エコノミストは「世界金融危機でも送金の減少率は平均5%で、今回は統計を取り始めてから最悪だ。送金を全く受け取れない家庭が出てくるだろう」と述べた。【中村聡也】

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