2020年9月4日金曜日

問われる大阪都構想 「民意」のもと突き進む維新 公明にはヤジも  朝日新聞社 - 朝日新聞デジタル - 2020年9月3日  大阪府から大阪都にした方がいいか悪いか? 大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票が決まった。最大の理由は、都構想に反対してきた公明党が賛成に転じたことだ。住民サービスの維持や財政状況の見通しなどの課題は残ったまま。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか、不安視する声もある。  「将来の大阪をどうするか、住民のみなさんに判断いただきたい。身の引き締まる思いだ」。大阪維新 の会代表の松井一郎・大阪市長は市議会で都構想の制度案が可決された直後、こう述べた。表情を緩めることなく淡々と語ったが、看板政策が進もうとすることに、こう評してきた。「民意というのは大きい」  都構想の制度案は5年前と根本的に変わりないが、異例となる2度目の住民投票にこぎ着けた。「民意」は維新にあるとして、突き進んできた。  都構想は2015年の住民投票で僅差(きんさ)で否決された後、議論が停滞していた。そこへ、松井氏は「都構想の推進」を掲げて大阪府知事と大阪市長のダブル選挙を15年と19年に仕掛け、いずれも圧勝した。府内の衆院小選挙区で全国最多の4議席を持つ公明党が国政で維新と対決することを回避しようと賛成に転じ、府と市の両議会で賛成多数を形づくった。  公明に対しては、この日の議会で傍聴者から「裏切り者」「恥を知れ」とのヤジも飛んだが、西崎照明・公明市議団幹事長は「住民のためにと議論を進めてきた」と理解を求めた。  改めての住民投票を前にして、維新は支持拡大に向けた手を相次いで打っている。3月にはコロナ対策として、小中学校の給食無償化を1年前倒しし、4月から実施すると発表した。8月には、未就学児に5万円を所得制限なしで給付することも決めた。市幹部は「住民投票を意識した大盤振る舞い」と明かす。住民投票に向けた今後の議論では、こうした姿勢に対する批判も焦点となりそうだ。  維新はコロナ下の住民投票は、プラスになるとみている。コロナ対策で吉村洋文知事が脚光を浴び、世論の理解が得やすいとの見方だ。維新と敵対する自民党府連からも「橋下(徹・元代表)ブームのときより、今回は吉村バブルがあることは否めない」との声が出ている。 ■歳出削減・経済効果の試算に疑問  都構想が実現すれば四つの特別区は、パスポートの交付などの権限も持ち、東京23区よりも事務分担の幅は広くなる。しかし、住民サービスが向上するかどうかは不透明で、住民投票で大きな争点となる。新しい自治体を設置することでコストがかさみ、スケールメリットも今後、失われていくという指摘もある。  将来に向けた試算への批判も多い。都構想実現から10年間の歳出削減効果と経済効果はいずれも最大1・1兆円との試算には、計82カ所の誤りが見つかっている。「コロナによる税収減が反映されていない」との批判もある。

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