2020年9月5日土曜日
米失業率は8.4% 4カ月連続改善も高止まり 8月雇用統計 毎日新聞 - 毎日新聞 - 2020年9月4日
米労働省が4日発表した8月の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は前月比137万人増と4カ月連続で増加した。失業率は8・4%(前月は10・2%)と4カ月連続で改善したが、新型コロナウイルスの影響で高止まりが続く。需要回復が遅れるサービス業を中心に人員削減の動きが広がっており、今後の雇用回復への懸念が強まっている。
米国では新型コロナ感染拡大が本格化した3~4月に約2200万人が失業したが、経済活動の再開が進んだことで5~8月に約1000万人が復職した。7月に新規感染者数が1日当たり7万人超に急増し、一部の州が経済活動の規制を強化したことを受け、雇用回復ペースが鈍化したが、8月に入り感染ペースは緩やかに減少。米労働省が3日発表した8月29日までの1週間の新規失業保険申請(季節調整済み)は88万1000件と前週から13万件減少するなど雇用の回復基調は維持された。
一方で、需要低迷が長期化しているサービス業を中心にリストラの動きが広がっている。米飲料大手コカ・コーラは北米で約4000人の自主退職を募集。米カジノ大手MGMリゾーツは、一時帰休となっていた約1万8000人を解雇する方針だ。
8月末時点の航空旅客数が前年の約3割にとどまるなか、アメリカンとユナイテッドの航空大手2社は10月に計3万5000人を削減する方針を公表。米メディアによると、デルタ航空も3000人規模の一時帰休を計画している。米政府は4月に航空業界に資金支援を行った際、9月末まで人員削減を禁じていた。政府・議会による追加支援の協議は難航しており、航空各社は雇用維持が難しくなっている。
8月の雇用統計では、復職を前提とした「一時解雇」の失業者が616万人と4月時点から7割近く減少。一方で、復職を前提としない失業者は414万人と4月から6割増加した。企業が人員削減に踏み切り、一時解雇者が永続的に解雇されるケースが増えているとみられ、今後の雇用回復のハードルは次第に高まっている。【ワシントン中井正裕】
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