2020年7月29日水曜日
中国の南シナ海権益主張は「無効」…米豪が共同声明、軍事協力強化へ 読売新聞 - 読売新聞 - 2020年7月29日
【ワシントン=横堀裕也】米国とオーストラリアによる外務・防衛閣僚会合(2プラス2)は28日もワシントンで行われ、2日間の日程を終えた。米豪は会合終了後に共同声明を発表し、中国が南シナ海で主張する海洋権益は「国際法に基づき無効だ」と強調した。インド太平洋地域での威圧的な行動に「深刻な懸念」を表明し、「侵略の抑止」を目的に軍事協力を強化する方針を示した。
共同声明では、香港の反政府活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)の施行や、新疆ウイグル自治区の少数民族の弾圧についても、中国を名指しした上で「深い懸念」を表明した。昨年開かれた2プラス2の共同声明は中国の名指しは避けており、米豪両国の対中強硬姿勢が鮮明になった。
ポンペオ米国務長官は閉幕後の共同記者会見で「新型コロナウイルスと中国共産党の野心という難題に同時に対処する必要があるが、我々は豪州という緊密なパートナーに恵まれている」と語り、中国を念頭に置いた協力強化に自信を示した。
マリーズ・ペイン豪外相は「米豪は共通の価値観に基づいて行動している」と応じた。「我が国は中国との関係を傷つけるつもりはないが、国益に反する行動を取るつもりもない」とも述べた。
軍事協力をめぐっては、米側の資金提供により、民営の軍事用燃料貯蔵施設を豪北部ダーウィンに建設する方向で一致した。ダーウィンは東南アジアに隣接する重要拠点で、米海兵隊が駐留している。米豪は海兵隊も含めた合同演習を拡大し、近隣の同盟国の参加を検討することも確認した。
米豪はまた、「国家が主導する悪質な偽情報拡散と民主的プロセスへの介入」の脅威を共有し、両政府による作業部会を設置して監視することも決めた。中国やロシアなどを念頭に置いた対応とみられる。
◆米豪共同声明のポイント
▽中国が南シナ海で主張する海洋権益は「国際法に基づき無効」
▽インド太平洋地域を不安定化させる威圧的な行動に「深刻な懸念」を表明
▽香港での国家安全維持法の施行や新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧に「深い懸念」を表明
▽インド太平洋地域における「侵略の抑止」を目的に軍事協力を強化
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