2021年8月3日火曜日

米議事堂襲撃事件「トランプ氏に責任」 死を覚悟した議員が批判 朝日新聞社 - 朝日新聞デジタル - 2021年8月3日

  今年1月に米連邦議会議事堂がトランプ支持者たちによって襲撃・占拠された事件をめぐり、民主党のスーザン・ワイルド下院議員が朝日新聞記者のインタビューに応じた。事件発生当時議場内に閉じ込められ、死を覚悟した生々しい体験を証言。ワイルド氏は、「原因と結果は明らかだ」と語り、支持者をあおり続けたトランプ前大統領に責任があるとした。

 ワイルド氏は事件当日の1月6日、米連邦議会議事堂にいた。建物内では大統領選の選挙結果を確定させる上下両院合同会議が行われていた。ワイルド氏がいたのは、下院本会議場の2階の傍聴席。階下の本会議場で、選挙結果の確定をめぐる議論が行われていた午後2時ごろ、ワイルド氏は携帯電話に、議会警察から3通のメッセージを相次いで受け取った。

 1通目は「議事堂の建物の外にデモ隊が集結している」という警告だった。2通目は「デモ隊が議事堂の境界線を突破した」、さらに、3通目は「デモ隊が議事堂内に侵入した」と記されていた。ワイルド氏が階下の本会議場を見下ろすと、最初に下院議長のナンシー・ペロシや民主党院内総務のステニー・ホイヤーら幹部が警官らに誘導されて退避。その後、ほかの大勢の議員たちも出口に向かって走り、退避しているのが見えた。

 一方、2階傍聴席にいたワイルド氏らの退避は遅れた。もともと出口が少ないうえ、暴徒たちの侵入を防ぐため、ほとんどの出口がバリケード封鎖されたからだ。ワイルド氏らが出口に向かって移動していると、突然、1階の本会議場からガラスの割れる音とともに、外からドアが激しくたたかれる音が聞こえてきた。

 議場内では警官らがドアの前に机を置き、外から開けられないようにバリケード封鎖。しかし、議事堂内に侵入してきた暴徒たちは本会議場前の廊下にたどり着くと、廊下側からドアのガラスをたたき割り、議場内に乱入しようとしていた。警官ら数人がガラスを割る暴徒たちに向けて銃を構え、バリケード封鎖が破られれば、即時に暴徒たちに銃を発射する構えをとった。2階にも暴徒たちがやってきて騒ぎ始めたという。ワイルド氏らは議場内に完全に閉じ込められてしまった。

 ワイルド氏によると、傍聴席に取り残されたのは、同僚議員やメディア関係者ら20人程度。階下の本会議場からは、人の怒鳴る声やガラスの割れる音が鳴り響き、銃声も聞こえた。

 ワイルド氏はその場にしゃがみ込み、20代の息子と娘に電話をかけ、「愛している」と伝えた。これが最後の会話になるかもしれないと覚悟したという。

0 件のコメント:

コメントを投稿