2021年8月25日水曜日

経済打撃、個人消費1.6兆円押し下げ 毎日新聞 - 毎日新聞 - 2021年8月25日 

  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府が緊急事態宣言の対象地域拡大に踏み切ったことを受け、日本経済への打撃は一層、膨らむことになる。政府は年内に国内経済がコロナ禍前の水準を回復するとの見通しを示しているが、市場では「達成は絶望的だ」との見方も出ている。

 第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストによると、対象地域拡大に伴い、4度目の緊急事態宣言による国内総生産(GDP)の押し下げ効果は従来の1・2兆円程度から、1・3兆円程度に膨らむ見通し。これは2021年7~9月期の実質成長率を1%程度、押し下げる計算となる。

 日本経済の柱である個人消費の押し下げ効果は従来の1・4兆円程度から1・6兆円程度に拡大。国内経済の減速により、3カ月後の失業者数も6・6万人程度から7・5万人程度まで増加する恐れがある。

 内閣府が16日発表した21年4~6月期の実質成長率は海外経済の回復を背景に20年10~12月期以来、2四半期ぶりにプラスに転じた。政府はワクチン接種の加速で感染拡大に歯止めがかかれば、年後半に向け当局の自粛要請で低迷している個人消費などが大きく増加基調をたどるというシナリオを想定していた。

 永浜氏は「緊急事態宣言の拡大で個人消費の早期回復は望めなくなった」と指摘。7~9月期の実質成長率についても「設備投資や外需など個人消費以外の項目が大きく増加しない限り、再びマイナス成長に落ち込むことは避けられない」とし、日本経済がコロナ禍前水準を回復するのは早くても22年度以降になると予測している。【町野幸】

0 件のコメント:

コメントを投稿