2021年5月15日土曜日

  これまで述べてきたような話は、多くの研究者や医療関係者の間で語られており、決して筆者の勘ぐりではない。人道とはかけ離れた医療算術でイベルメクチンの効果が過小評価されているとすれば、パンデミックと闘う有効な武器を不当に封じられていることになるのではないか。世界の多くの医師・研究者も同じ思いではないかと推測している。筆者はこれまで、FLCCCなどから発信されたイベルメクチンの臨床試験論文を30報以上目を通しているが、イベルメクチンがCOVID-19治療に全く効かない、ということはあり得ないと確信している。

 イベルメクチンはとうに特許が切れ、ジェネリック薬剤がインド、中国などで大量に製造されている。最初に開発したメルク社は、イベルメクチンをCOVID-19の治療薬として適応するための臨床試験をやる気はなく、イベルメクチンとは別のCOVID-19の新薬開発に取り組んでいる。開発中の薬剤は、4月下旬には最終的な臨床試験に取り組み、9月ごろには承認申請を行う予定と報道されている。

 わざわざ新薬を開発するのは、特許権のなくなったイベルメクチンをいまさらCOVID-19の治療薬として適応を取り付けても、経済的なうまみは何もないという側面もあるのではないか。体重70キロの患者の治療に必要なイベルメクチン(日本では「ストロメクトール」)の薬価は、日本では約3500円だが、世界的な相場は数百円といわれる。メルク社にとって、イベルメクチンは、もはや利益のない薬剤なのだ。

 アメリカでメルク社が、イベルメクチンによるCOVID-19治療に否定的なのも、こうした事情と無関係ではないだろう。新たな特効薬が世に出るまで、イベルメクチンは「効果なし」であってほしいとの思惑があるのでは、と疑う声すらある。

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