まず、一帯一路は北緯と南緯に分かれる(次ページ図)。北緯は、中国からモンゴル、ロシアを横断してヨーロッパへ向かうルートだ。中国、カザフスタン、ポーランド、ドイツ、フランスへと、物流にかかる時間がこれまでの最長60日から18日までに短縮される。
一方の南緯は、中国からウズベキスタン、タジキスタン、イラン、イラク、トルコを結ぶ。こちらは石油や天然ガスといった重量の大きな貨物の輸送ルートとなる予定だ。いわゆる「マラッカ・ジレンマ」(中国のエネルギーや物流にとって死活的な意味を持つマラッカ海峡の安全航行がアメリカなどに事実上管理されている現状のこと)を回避でき、アメリカ海軍の影響が及ばないルートだと言える。これが実現すれば、物流コストを現在の7割水準にまで下げることができるとされている。
南緯が通過するイランは、現在はアメリカによる経済制裁下にある。また、イラクも治安が悪いため、南緯構想は進んでいないのが実状だ。その代わりに2020年12月8日、トルコのイスタンブールからジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタンを横断して中国の西安まで結ぶ鉄道貨物輸送ルートが開通した。これにより、1カ月かかっていた輸送期間が12日に短縮された
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