2020年12月22日火曜日

「投票機を押収」「戒厳令」まで話し合われたトランプ「御前会議」に“あの疑惑の2人”が出席していた  NEWSポストセブン - 2020年12月22日

12月18日の金曜日、ホワイトハウスでは不穏な雰囲気で会議が行われたようである。CNNとニューヨーク・タイムズの報道によると、金曜日の会議には意外なメンバーが2人、参加していた。ひとりは弁護士のシドニー・パウエル氏であり、もうひとりは彼女のクライアントでもあるマイケル・フリン元国家安全保障補佐官だった。会議は大統領執務室で行われ、怒号も飛び交う大荒れだったようだ。  パウエル弁護士は、大統領選挙のさなかに「選挙に使用された投票機はベネズエラや中国など反米国家の影響を受けたメーカーが製造しているもので、トランプ氏に投じられた票が違法に改ざんされている」と主張したが、その根拠は全く示せなかった。アメリカのメディアも各州の当局者も、これを「100%捏造された陰謀論」と一蹴し、やり玉に挙げられたメーカーは、発言の撤回を求めて法的措置を示唆している。トランプ陣営も、さすがに彼女の主張はひどすぎると判断し、トランプ弁護団として正式に「彼女は仲間ではない」と発表して火消しに奔走した経緯がある。ところが、最近になって、トランプ氏は彼女と連絡を取り合っていたというのだ。  フリン氏は、ロシア疑惑などの事件に関係し、虚偽の発言や意図的に捜査をミスリードした罪に問われ、いったんは自ら罪を認めて司法取引に応じたが、司法省の介入で判決の言い渡しが再三延期され、ついにはトランプ氏の恩赦で無罪放免となった。要は、いわくつきの側近である。  会議でフリン氏は、選挙結果を受け入れないために、トランプ大統領が戒厳令を発動するべきだと主張したという。報道ではトランプ氏がそれを支持したかは明らかになっていないが、会議の出席者たちが、そんなことは無理だとフリン氏を押さえつけたようだ。  一方、これも誰が提案したか報じられていないが、会議ではパウエル氏を特別検察官に任命して、大統領選挙の不正を捜査させるという案が浮上した。パウエル氏は投票機を押収するための大統領令を出すことを提案したが、これも出席者たちから反対されて却下されたという。パウエル氏は反対する人たちを「臆病者」と非難したとされる。  会議には、トランプの個人弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長も参加し、パウエル氏の奇抜すぎる提案に反対したようだが(トランプ弁護団からパウエル氏を排除したのもジュリアーニ氏だった)、それとは別に、彼自身も投票機を差し押さえるよう国土安全保障省に掛け合っている。こちらも同省から拒否されて手詰まりになっている。  客観的に見れば、パウエル氏やフリン氏こそ、根拠のない捏造された陰謀論によって大統領選挙を疑惑まみれにしてしまった張本人だが、その2人を大統領執務室に呼び込んで、さらに騒動を煽ろうとしているトランプ氏の真意はどこにあるのか。別の報道では、トランプ氏は自分のスタッフたちが「パウエル氏のように戦うべき」だと訓令したとされる。  もういい加減にしてほしいというのが大半のアメリカ人の気持ちだが、トランプ氏にしてみれば、退任後も「2020年の大統領選挙は不正だった」と言い続けるためには、でっち上げでも憶測でも、“疑惑”は多いほどいいわけだ。それを信じるトランパーズ(熱狂的なトランプ支持者)は今もたくさんいる。アメリカがこれ以上、混迷を深めて国家運営が滞れば、喜ぶのはそれこそベネズエラや中国などの反米国家なのだが……。

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