2020年8月18日火曜日

ベラルーシで国営企業にスト拡大 大統領、改憲後の権限移譲示唆 即時退陣は拒否 毎日新聞 - 毎日新聞 - 2020年8月18日  大統領選の不正疑惑をきっかけに、6選したルカシェンコ大統領の退陣を求める抗議活動が続く旧ソ連のベラルーシで、国営企業の労働者らの間でもストライキの動きが広がっている。生産の一部が止まる工場も出ており、経済面でも政権への退陣圧力が高まりそうだ。ルカシェンコ氏は17日、憲法改正後に大統領権限を移譲する可能性に言及したが、即時の辞任や再選挙は拒否している。抗議活動は今後も拡大するとみられる。  18日にはベラルーシの駐スロバキア大使が抗議活動に連帯の意思を示して、辞任を表明した。  地元メディアなどによると、ベラルーシでは13日から一部の企業でストの動きが始まり、17日には大統領選の対立候補だったチハノフスカヤ氏の陣営が、政権に経済的圧力を加えるため、全国規模のストを呼びかけた。  国営の車両生産や金属加工の大工場などでストに同調する動きが広まり、カリウム肥料生産で世界シェアの約2割を占める化学工場では生産が一部停止。ストが長引けば、取引関係のある他国の経済にも影響を与えかねない状況だ。国営放送の従業員の間でもストが広まっており、一部の放送が再放送の番組に差し替えられる動きも出ている  これに対し、ルカシェンコ氏は17日、視察に訪れた軍事車両の製造工場で「人は余っている。働きたくない人は別に働かなくていい」と解雇を示唆。一方で大統領選の公約としていた国民投票による憲法改正に言及し、「憲法の規定に沿って私の権限を渡そう」と譲歩の姿勢を見せた。改憲後の大統領選実施の可能性も認めたが、「(権力移譲は)圧力や街頭(での抗議)を通してではない」と抗議活動に屈しない考えも強調した。演説を聴いた工場の労働者からは「出て行け」と即時退陣を求めるシュプレヒコールが上がった。  一方、政権移行を求めるチハノフスカヤ氏の陣営は17日、政権移行に向けた具体的な方法を協議する調整評議会の参加者30人以上を公表。メンバーにはノーベル文学賞作家のアレクシエービッチ氏や人権擁護団体の代表らが名を連ねた。メンバーの一人は最初の会合が18日にも開かれると明らかにした。  大統領選の不正疑惑を批判する欧米諸国からは懸念の声が強まっている。トランプ米大統領は17日、記者団にベラルーシ情勢について「ひどい状況だ」と述べ、注視していく考えを表明した。欧州連合(EU)のミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)は19日にベラルーシ問題を協議する緊急のEU首脳会議を開催すると発表。ロイター通信によると、会議では抗議活動を続けるベラルーシ国民に連帯するメッセージを発するとともに、ルカシェンコ政権への支援を約束するロシアに対して介入しないように求める可能性があるという。  一方、プーチン露大統領は18日、メルケル独首相やマクロン仏大統領と電話で協議。プーチン氏は「ベラルーシに対する外部からのいかなる介入も受け入れることはできない」と述べた。【前谷宏】

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