2020年3月11日水曜日

新型コロナウイルス感染拡大などの影響で株価が急落し、安倍政権が危機感を強めている。第2次内閣の発足から7年余り、株価の安定を背景に底堅い支持を得てきたが、「金看板」に黄信号が点灯した格好だ。この先のかじ取りを誤れば、政権が一気に不安定化する可能性もある。
 安倍晋三首相は10日の政府・与党連絡会議で「世界経済の先行きに対する不透明感がある中、金融市場で神経質な動きが見られる」と指摘。「日々変わる情勢の先を見通し、やるべき対策をちゅうちょなく決断、実行していく」と強調した。
 2012年末の政権復帰以来、首相は「外交」「危機管理」「経済」の3分野で強みを発揮してきた。しかし、外交はロシアとの北方領土交渉が行き詰まり、北朝鮮による日本人拉致問題も解決の糸口がつかめていない。今回のウイルス対応では初動の遅れを批判され、危機管理にもけちがついた。
 追い打ちを掛けるような株価急落に、政府高官は「間違いなく安倍政権が始まって以来の危機だ」と焦りを隠さない。自民党のあるベテランはアベノミクスが株価を偏重し、産業創出を軽視してきたと主張。「一気に株安になると、この国には何も残らない」と訴える。
 景気動向は内閣支持率や国政選挙の結果に結び付きやすい。今回の「コロナショック」では自民党や公明党を支えてきた地方の中小・小規模事業者らが直撃を受けた。
 新型コロナウイルスの経済への影響を最小限に抑えるため、政府は10日、総額4300億円の財政措置を決定した。しかし、野党は「全く不十分」(国民民主党の玉木雄一郎代表)と批判を強め、足元の自民党からも20兆円規模の経済対策や消費税減税を求める声が上がっている。

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