2021年3月29日月曜日
露がワクチン販売攻勢 EU、対処に苦慮 産経新聞 - 2021年3月29日
【モスクワ=小野田雄一】ロシアが自国産の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の欧州連合(EU)への売り込み攻勢を強めている。人権問題などでロシアと対立するEU内には安全性への疑念とともにロシアの「ワクチン外交」を警戒する声もあるが、感染拡大が深刻な一部の加盟国は既に独自にロシアと供給契約を締結。EU内の足並みが乱れている。
スプートニクVの供給に携わる露直接投資基金(RDIF)は、接種1回当たりの価格が欧米系ワクチンに比べて安価な上、最終段階の臨床試験で91・6%の有効性があったと強調して販路を拡大。29日現在、スプートニクVを承認したのは発展途上国を中心に世界57カ国・地域に上る。RDIFはEUの医薬品規制当局、欧州医薬品庁(EMA)にも承認を申請、EMAは今月から審査を開始した。
RDIFはスペインやイタリアなどの企業と既に生産契約を結んでいるとし、承認を受け次第、EUへの供給を開始する方針だ。
EUは複数のワクチンを承認しているものの、生産の遅れから供給が滞り、加盟国から不満が出ていた。実際、ハンガリーとスロバキアは独自にスプートニクVを調達。EUが承認済みの英アストラゼネカ製ワクチンに安全性への疑念が生じたことも追い風に、ロシアはスプートニクVの販路を拡大させる構えだ。
スプートニクVをめぐり、EU内では民主化活動を弾圧するロシアに依存してEUへの影響力を拡大させるのは望ましくないとする考えと、新型コロナの早期収束にはロシアとの協力は避けられないとする考えが対立している。
ロイター通信など複数の欧州メディアによると、EUのミシェル大統領は今月、ロシアと中国は他国へのワクチン供給を「プロパガンダ」(政治宣伝)として行っていると指摘。マクロン仏大統領も先週、世界は中露のワクチン供給を通じた影響力拡大という「新たな形の世界戦争」に直面しており、EUはワクチン製造で主権を守るべきだとする認識を示した。
対照的に、ドイツやイタリアなどはEU主導でスプートニクVを調達すべきだとの考えで、EUが承認しなければ独自に購入する可能性も否定していない。
ロシアは「ワクチン供給は国際貢献で、政治利用しているとの批判は事実無根だ」と主張している
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