2021年2月8日月曜日

経鼻コロナワクチン、前臨床試験で有望な成績  HealthDay Japan Translation - HealthDay - 2021年2月3日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、注射ではなく鼻からスプレーするタイプのワクチンが有効である可能性が、前臨床試験で明らかになった。マウスとハムスターを用いた同試験では、このワクチンを2回接種することで抗体が作られ、新型コロナウイルスの抑制につながるT細胞の活性化が促されたという。英ランカスター大学と米テキサス・バイオメディカル・リサーチ研究所の研究グループが実施したこの試験の詳細は、査読前の研究論文サーバーである「BioRxiv」に1月11日発表された。 この経鼻スプレー型ワクチンは、鳥類の伝染性感染症の原因であるニューカッスル病ウイルス(NDV)をベースにしたもの。NDVはヒト体内で複製されるが、人体には無害だという。研究グループは、NDVに操作を加えて、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が産生されるように改変することにより、新型コロナウイルスを攻撃するための免疫システムの強化を目指した。 その結果、ワクチンを投与したマウスにおいて、新型コロナウイルスを中和する免疫グロブリンA(IgA)抗体およびIgG2a抗体が産生され、T細胞による強い免疫応答が誘導されたことが明らかになった。また、ワクチンを2回接種したハムスターでは、新型コロナウイルスに曝露した後も、肺の損傷や炎症、疾患の重症度などが大幅に抑制された。 研究論文の責任著者であるランカスター大学のMuhammad Munir氏は、「われわれは、このワクチンを鼻に噴霧することで、感染伝播につながるウイルス排出から動物を完全に守ることができることを突き止めた。この試験結果は、経鼻スプレーによる上気道への免疫付与によって、ウイルスの拡散や体内の別の部位への感染を防げる可能性を示したものだ」と成果を強調している。 ただしMunir氏は、「今回、動物モデルにおいてこのワクチンの安全性と有効性に関して有望な成績が得られたが、その適用範囲の見極めや規制当局の承認の取得には、今後、ヒトを対象とした臨床試験を実施する必要がある」と付け加えている。 研究グループによると、経鼻スプレー型ワクチンには、侵襲性が低く、局所免疫を誘導するといった利点がある。また、注射針に恐怖心を抱く人や血液凝固障害のある人にも有用な選択肢になり得る。さらに、この経鼻スプレー型ワクチンは、現存する季節性インフルエンザワクチンのインフラを利用して製造できる可能性があることから、発展途上国でも低コストの選択肢になり得るという利点も見込めるという。 研究論文の共著者の一人で、ランカスター大学のMohammed Rohaim氏は、「拡張性と経済的生産性の面で、このワクチン候補は低中所得国に適している」と説明している。(HealthDay News 2021年1月19日)

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