2020年7月10日金曜日

毎日新聞 バイデン氏、労働者層へ浸透図る 対中警戒感も強調 製造業75兆円投資発表 毎日新聞 2020/07/10 20:35  11月の米大統領選の民主党候補指名が事実上確定したバイデン前副大統領は9日、米製造業復活に向けて政府の米製品購入や研究開発に4年間で総額7000億ドル(約75兆円)を投じる経済政策を発表した。トランプ大統領の掲げる「米国第一主義」の向こうを張る製造業支援策を打ち出し、大統領選の結果を左右する労働者層への支持拡大を図る狙いだ。  東部ペンシルベニア州で9日演説したバイデン氏は、トランプ政権の産業政策が「大企業幹部と投資家だけに役立っている」と批判し、自らの政策は「中小企業や労働者のため」と強調した。トランプ氏が16年大統領選で掲げた米製造業の復活を目指す「米国第一主義」は、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の白人労働者層の支持を得る要因となっただけに、バイデン氏の政策は労働者票の奪還を強く意識した内容となった。  インフラ投資や環境負荷の少ないクリーンエネルギーの導入には4000億ドルを投じる。公共事業に米製品・サービスの利用を義務づける「バイ・アメリカン条項」の基準を強化し、政府の投資資金を米国内に還流させるとした。政府調達の23%以上を中小企業に発注し、受注企業には従業員に時給15ドル以上の支払いを義務づけるなど、中小企業の振興やブルーカラーの所得向上を図る方針も強調した。  人工知能(AI)、第5世代(5G)移動通信システムなど先端技術の研究開発に3000億ドルを拠出する。中国政府が産業育成策「中国製造2025」で巨額の研究開発支援を行っていることに関し「中国政府は米国の技術優位性を覆し、次世代産業の支配を狙っている」と警戒感を示し、政府主導の技術開発の重要性を強調。これらの政策により、少なくとも500万人の新規雇用を生み出すとした。  通商政策では、中国への強硬姿勢を示しつつ、同盟国と協調して中国製品への依存から脱却する方針を掲げた。トランプ氏の対中政策については「独りよがりの貿易戦争と、中身のない米中『第1段階』合意は、労働者や農家に苦痛をもたらし、中国の不公正な貿易慣行の抑止につながっていない」と批判。中国の産業補助金問題や知的財産権侵害に対抗措置を取りつつ、同盟国と協力して部品供給網(サプライチェーン)の国内回帰を進める考えを示した。【ワシントン中井正裕】

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