国連人権高等弁務官事務所(OHCHR、本部ジュネーブ)は30日、トランプ米大統領が、イラクでの民間人殺害に関与し有罪判決を受けた米民間軍事会社(PMC)の隊員4人に恩赦を出したことについて「国際法に違反する行為で、正義と犠牲者、その家族への冒とくだ」と非難する専門家グループの声明を発表した。
事件は2007年9月、イラク・バグダッドの広場で発生した。米国務省関係者を護衛していたブラックウォーター社(当時)の隊員4人が銃を乱射。子供を含む14人の民間人を殺害し少なくとも17人にけがをさせた。
殺人などの罪に問われた4人は米国内の裁判で終身刑など実刑判決を受けたが、トランプ氏は20年12月22日、かつて軍に所属した4人の国家への貢献などを理由に恩赦を与えた。同社の創設者はトランプ政権のデボス教育長官の実弟で、トランプ氏の支持者としても知られる。
国連専門家グループの声明は、戦争犯罪者の立場が軍人・民間にかかわらず「その責任を追及することを各国に義務付けている」と指摘。武力紛争におけるPMCや雇い兵の人道法上の責任が免除される前例が作られれば「軍事活動の外部委託のさらなる拡大を招く」として「深刻な懸念」を表明した。【ワシントン高本耕太】
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